Mezmeriz

女の子
文字




デザイン。

インターネットに接続するには、

22時59分まで待たなければいけなくって、

モデムはピーガーとうるさくって、

Web上には企業や大学のサイトばっかりで、

子供やペットの写真を見つけることは難しかった。

エロサイトはあった。


インターネットの敷居は高く、

アクセスしていたのは大学関係者と研究者、コンピュータオタク。

頭の良い変な人たちが溢れていた。


その頃のWebはオタクたちの所有物だった。

ルールが曖昧で全てがモラルによって世界が成り立っていた。


そこにはダイアローグがあった。

A_promptがあった。

“”FUNNY”” GAMER’S HEAVENがあった。

ウガニクのホームページがあった。

海牛セバスチャンがあった。

coyoteがあった。

ペヤンゲがあった。


当時のテキストサイトは怖かった。

僕はネットは怖い場所だと感じていた。


無題-Notitle-も

コスモクルーズも

ユリカゴカラハカバマデも

怖かった。


そこにはアングラと呼ばれる地下水道で繋がれた、

あやしいわーるどが広がっているように思えた。

街の灯も届かないカルトブックマーク集。

絶望の世界だった。


GetRight→ReGet↓Iria←Irvine↑

だった。


ドクロで埋め尽くされた黒背景のサイトの中に

一風変わったサイト群を見つけた。

それらのサイトはデザインが美しく、背景が白く、

やたら文字が小さかった。トーキョー23ピクセルだった。

掲示板はプラッチックだった。


HEXAGONがあった。

クリアーラバーソウルがあった。

アシッドオーバードライヴがあった。

失言レストランがあった。

ペーパーハーツがあった。

ビーベリックがあった。

恋愛勇者があった。

オトウトイモウトがあった。

おとなランチがあった。

ニュートリノがあった。

ねこジャイロがあった。

イヌの手が大好きだった。

Young Odeonにはつ恋をした。


その日

『はじめに閲覧されるべきもの』は、

テキストサイトになった。


そっと、静かに。

猫を起こさないように。

ほそぼそと一文字。


母さん。


僕は、

ろじっくぱらだいすが好きだった。

かまくら。が好きだった。

アジア系が好きだった。

我思う故にラーメンが好きだった。

スヰスが好きだった。

どれも一流ホームページだった。


そのころサイト運営を止めていた

Neuromaのキリコさんという方が

ReadMe登録を薦めてくださった。

ホソキンが批評してくれた。


POPOIが好きだった。

ベリーペコリーが好きだった。

ドライヤーピストルが好きだった

カンパニュラが好きだった。

プリケッツ団が好きだった。

抹風が好きだった。

エレメンタルノートが好きだった。

Gack’n’Rollが好きだった。

海神家の一族が好きだった。

hirax.netが一番好きだった。


それが世界の全てだった。


いつの間にかインターネットの敷居は下がっていた。

女性ユーザが圧倒的に増えた変わりに

怒って喧嘩をする人たちが目立ち始めた。

Webには子供やペットの写真が溢れた。

依然としてエロサイトはあった。


ICQはMSN Messengerになった。


斬鉄剣から侍魂へと世界は次々に変遷していった。

アングラと呼ばれていた空間やオタクの楽園は

全部2chに吸い取られた。


ナフが好きだった。

マフィアが好きだった。

桃色核実験が好きだった。。

セクサロイドは眠らないが好きだった。

ニガシオが好きだった。

エスロピが好きだった。

ドリフトウッドが好きだった。

ティンポクローが好きだった。

人間道場が好きだった。

プチ日記が好きだった。

Webやぎの目が好きだった。

ゴブリンと僕が好きだった。

謝るよが好きだった。

死にたいが好きだった。

if→itselfが好きだった。

テレビの土踏まずが好きだった。


gooから、googleへ。

相互リンクから、トラックバックへ。

ニッキ系から、ブロガーへ。

九十九式。百式


エロサイトはエロ動画になり、ニコニコ動画が現れた。

はてなアンテナから、はてなブックマークへ。

マイミクから、フォローへ。

セカンドライフは、無かったことになった。


過去は過ぎ去り、

未来は未だ来たらず


あの夏に飲んだはちみつレモンは

格別に甘くて、酸っぱかったけど、

今飲むプレミアムモルツだって、

とにかく苦くて、サイコーだ。

32 名前:1/2[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 03:14:51.32 ID:p6LKw0J50
1. プログラマーからシステム・エンジニアへ

「このプロジェクトは無理です。大きなデザイン変更を強いられる上、
うちのチームにはこのシステムのデザインについて知る者は誰もいません。
それにうちの会社にこのアプリが書かれた言語を知る人もいません。
個人的な見解を申し上げますと、当社でこのプロジェクトを絶対に引き受けるべきではありません。」

2. システム・エンジニアからチーム・リーダーへ

「このプロジェクトはデザインの変更が必要で、現在うちのスタッフに経験者はおりません。
言語も見慣れないもので、この仕事を引き受けるなら、そのための研修が必要だと思います。
個人的な見解を申し上げますと、こういったタイプのプロジェクトを引き受けるには準備が十分ではありません。」

3. チーム・リーダーからプロジェクトマネージャーへ

「このプロジェクトはデザイン変更がシステム内で必要で、私たちはこの案件に対する専門的な経験がそれほどありません。さらに社内にあまり多くの人が相応しい研修を受けていません。
個人的な見解を申し上げますと、通常より完成には時間が要するものと思われます。」


33 名前:2/2[sage] 投稿日:2011/09/19(月) 03:17:56.76 ID:p6LKw0J50
4. プロジェクトマネージャーからシニアマネージャーへ

「このプロジェクトはデザインの再構築が必要です。幾人かは経験があり、数人は実装言語がわかります。
なのでわかるものが他のものを研修させればいいかと思います。
個人的な見解を申し上げますと、このプロジェクトは要注意ですが引き受けるべきだと思います。」

5. シニアマネージャーから社長へ

「このプロジェクトは我々がレガシーなシステムのデザイン変更が可能だということの、業界へのデモンストレーションとなるでしょう。プロジェクトを成功させるために必要なスキルと人材はそろっており、数人はもう自宅研修が終わっています。
個人的な見解を申し上げますと、どんな状況においてもこのプロジェクトを逃すべきではありません。」

6. 社長からクライアントへ

「私どもはこの手のプロジェクトのエキスパートです。現在まで多くの似たようなプロジェクトを、多数の大手クライアントさん向けに手掛けてきました。この種の仕事は他社に負けません、ぜひとも我々にお任せください。
個人的な見解を申し上げますと、このプロジェクトは我々なら期限以内に仕上げられます。」